河本理絵 「昨日、小鳥が隠した声を探す」
２０２５．１０．１（水）ー１０．１２（日）
１３：００－１９：００（最終日～１７：００）
＊online shopも２日目より開設致します。是非、ご自宅からでも作品世界をご覧ください。
河本理絵さんの描く絵画には、詩的で美しいリズムや文学的な響きが交錯する不思議な世界観があります。
日々、多くの小説を読み絵を描くことで想像力を膨らませ、また言葉を探し絵を描くという繰り返しの中で、作品が紬ぎ出されています。彼女の詩的な作品展開は、観る者を新たな想像世界へと誘ってくれます。
また、画面構成にも心地よいリズムと緊張感があり、鑑賞者は作品世界の登場人物に想いを馳せながら、自由自在に行き来し、旅をしているような不思議な心持ちになります。
是非、この機会に河本さんの作品世界をご高覧下さい。
【アーティストステイトメント】
私の制作は文学的な要素があると思います。日々たくさんの小説を読み、絵を描いています。直接的にそれらを繋げていませんが、その蓄積が間接的に影響していると思います。作品の題名やステートメントにもこだわっているので、言葉も形を探すように慎重に選んでいます。ハマるべきところが元々あったかのように、全てがピタっとハマったとき、やっと逢えたという気持ちになります。
「少しやっかいなことになっている」
F0号 2025年 アクリル、布（シーチング）
「知らないふりをする」S3号 2025年 アクリル、布（シーチング）
「昨日、小鳥が隠した声を探す」
目の前にとまった鳥が私の耳を咥えている
この小さな生きものには何が聞こえているのだろう
環境も社会も人も目まぐるしく変化している
地球上で体がまわり、脳内で思考もまわる
体が、目や口が、バラバラと離れてしまう
隣の人が鼻を拾っている
私はたまたま本に挟まっていた目をつけてみる
目を凝らすと見えないのに、ぼんやりしているとよく見える不思議な目だ
それは少しずつその場所に馴染もうとして元の目でもなく、本に挟んだ誰かの目でもない、またはその両方に似た形になる
初めて見るはずなのに、やっと逢えたと思うのは誰かの目の記憶なのだろうか
そういえば長い間、口が見つかっていない
隣の人が子どもに鼻を渡している
私は絵の中に目を置き、手を添えて足をつける
自分の一部のようで不安定だった絵は次第に形を変えて自立する
隣の人はまた鼻を探している
私の耳を咥えた鳥はどこへ行ったのだろう
大きな空に向かい、さっきつけたばかりの耳をすませる
その誰かの耳はよく聞こえる
遠くで鳴いている小鳥の声も聞こえそうな気がする
ー河本理絵ー
河本 理絵 Rie Kawamoto プロフィール
1999 年 静岡県生まれ
2022 年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
【個展】
2022年 「two dogs」 フリュウ·ギャラリ〡(東京)
【グループ展】
2025年 「そちらの空も青いですか」 KATSUYA SUSUKI GALLERY(東京)
2024年 「清涼な緑の風が頬を撫でるような感じ」 artgallery opaltimes(大阪)
「Dalston group exhibition part7」 Gallery Dalston(東京)
「まどろみ」 文ヶ学(大分)
2023年 「チキソと余白」 gallery TOWED(東京)
「interval」 KATSUYA SUSUKI GALLERY(東京)
「anywhere but here V」 フリュウ·ギャラリ〡(東京)
2022年 「東京五美術大学連合卒業·修了展」 国立新美術館
「多摩美術大学卒業制作展」 多摩美術大学
2021年 「丸山ゼミ有志展2020」 Hideharu Fukasaku Gallery Roppongi
「JOSHI-TAMA」 新宿眼科画廊
【受賞歴】
2023年 第22回アートギャラリーホーム展 入選
2022年 Idemitsu Art Award 2022 入選
第20回アートギャラリーホーム展 LEOC賞
2021年 第17回世界絵画大賞展 入選
FACE展2021 入選