
展示は終了しましたが、引き続き7月13日までオンラインショップにて販売中です。
本岡景太 ”はりつける彫刻”
6.14(土)ー6.28(日)
*月・火休廊
13:00-19:00
(Last day ー17:00)
☆6.14(土)18:00~ オープニングパーティー
☆6.27(土)13:00~ 公開制作
*2日目よりonline shopもオープン致します。
本岡景太さんは「歪曲張り子」という独自の技法を用い、”新しい彫刻”の表現を展開している注目の作家です。
初めて本岡さんの作品を拝見したのは武蔵野美術大学の卒業制作展の時でした。展示の空間全体に立体作品がいくつか配置していたのですが、鑑賞している自分が絵画世界の中に入り込んだかのような不思議な錯覚がありました。その感覚は空間の歪みと平衡感覚が無くなるような不思議な感覚です。とても強く印象に残る、心地良い違和感でした。
作品に使用している素材が紙だと知ったのは数年後、本岡さんが東京芸術大学の彫刻学科の大学院の卒業制作展でご本人からお話を伺った時でした。染色した紙に酢酸ビニル系の樹脂を揉み込み、型に貼り付けていくという本岡さん独自の技法で「歪曲張り子」と名付けられています。アトリエには本岡さん自身が染色した紙が色ごとに棚に配置されているそうで、それらをまるで画家のパレットのように、立体の形に貼り付けていきます。
この方法に辿り着くまでにも、幼い頃から紙で制作することに親しんでいたと言います。
また、もう一つの特徴と魅力が作品の歪みの部分です。本来、立体には自立するための芯材が欠かせないのですが、大胆にも芯材そのものを取り出し、中を空洞にさせてみると、ぐにゃりとした不思議な造形が出来、非現実的な世界のようで、夢中になってのめり込んで制作されていたそうです。
今回の個展では「はりつける彫刻」という新しい彫刻の概念に挑戦する機会となります。彫刻における”ものの存在”や”ものと背景”との背景を明らかにしていくための新たな表現を”はりつける”という行為を通して、探っていく貴重な機会となります。
是非、本岡さんの新たな試みをご高覧頂けたら幸いです。会期後半には本岡作品の裏側(公開制作)にも迫ります。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

「はりつけられたスプレーの風景」H740×W620×D250 (mm), 2025年, 紙、酢酸ビニル系樹脂、木 / 壁掛け作品

「Detach and Adhere」H2950×W2500×D2500 (mm), 2024年,紙、酢酸ビニル系樹脂、木 / 自立作品
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雨が降る日、窓に雨粒が当たり、一瞬広がってから表面張力で形を保ち、窓ガラスにはりつく。
目の前で動いていたものが止まる。雨粒は輪郭を強めて、新しい姿になる。
紙をはりつける制作は、景色を文脈から切り取って、その切り取られた輪郭を強調している。本来彫刻にないはずの輪郭が、はりつける制作によって強調される。それに、染められた紙はいつも、私が今まさに触れている表面から少し離れた景色を目指す。彫刻の表面の内側に世界が広がり、雨粒とそれに映る景色のように、彫刻の表面は景色の表面とイコールではなくなる。この時ようやく彫刻が実感できる。視線や認識の眼差しに耐えながら、目の前でただ存在しようと迫る姿を感じる。
はりつけられた景色は、本当の姿を失う。本当の姿ではない形によって、新しい景色が現実に現れてしまうところに、制作の喜びを感じる。本当の姿を超えて景色があらわれた途端、新しく生まれた、ただの姿に直面できる。
本岡景太
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過去の制作動画より
本岡景太/ Keita Motooka
【プロフィール】
1999年 広島県生まれ
2024年 東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻彫刻研究領域博士後期課程 在学中
2024年 東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程 修了
2022年 武蔵野美術大学造形学部彫刻学科 卒業
【個展】
2025 年 「はりつける彫刻」 Gallery Dalston
2024 年 「Site Vague」 OCA TOKYO
「癒着と打っ付け」biscuit gallery
「貼る点の遥か」 文ヶ学
2023年 「めくりあげたら衛星が飛んだ」 MATTER
2022年 「遠くの景色を揉む」 ギャラリー元町
2022年 「スピーチバルーン」 アートスペース神楽(旧植田寛治アトリエ)
【グループ展】 (2021年以前は省略)
2025 年 「幽体離脱の風景」 ロイドワークスギャラリー
「Doors」 biscuit gallery
「WHAT CAFE EXHIBITION vol.41:ON PAPER:ART and Print Market」 WHAT CAFE
2024 年 「夕暮れを待つ星」 クマ財団ギャラリー
「Dalston group exhibition -part7-」Gallery Dalston
「形而上彫刻」尾前勇向 本岡景太 二人展 コートヤードHIROO
「CHANGTING GALLERY PRIZE 2024」 長亭GALLERY
ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI2024アートアワードトーキョー丸の内2024 行幸地下ギャラリー
「grid3」 biscuit gallery
台東区長奨励賞受賞者展 上野駅地下
東京藝術大学卒業・修了作品展 東京藝術大学彫刻棟
2023年 「長亭GALLERY展2023」 長亭GALLERY
「彫刻の五・七・五」 沖縄県立芸術大学附属図書館・芸術資料館
「grid2」 biscuit gallery
2022年 「彫刻と家」 旧平櫛田中アトリエ
「SIBUYA STYLE」 西武渋谷店
「選択の行方」 gallery sol
ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2022アートアワードトーキョー丸の内 2022 丸ビル1Fマルキューブ
「シン・Chim ブラート」 国立新美術館
「ぼくらの 怪獣」vol.3 米澤一平 本藤美咲 本岡景太 Double Tall-Art&Espresso Bar
武蔵野美術大学卒業・修了制作優秀作品展 武蔵野美術大学美術館
東京五美術大学連合卒業・修了制作展 国立新美術館
武蔵野美術大学卒業・修了制作展 武蔵野美術大学
【受賞歴】
2025 年 ARTISTSʼ FAIR KYOTO 2025 最優秀賞
2024年 アートアワードトーキョー丸の内2024 OCA TOKYO賞
杜賞
台東区長奨励賞
2023年 長亭ギャラリー展2023特別賞
長亭ギャラリー展2023奨励賞O JUN賞
2022年 アートアワードトーキョー丸の内2022 藪前知子賞
武蔵野美術大学卒業・修了制作優秀作品賞
2021年 第一回宮若国際トリエンナーレTRAiART学生コンペティション 大賞
【アートフェアなど】(2023年以前は省略)
2025 年 ARTISTSʼ FAIR KYOTO 2025 京都国立博物館
2024年 ART FUTURE 藝術未來2024 台北
2023年 EASTEAST_TOKYO 2023 科学技術館
【雑誌掲載】
2025 年 雑誌「Pen」6月号 2ページ特集 掲載